IMPROVISED MUSIC / 橋本一子 & 小川美潮

htarumi2009-04-05

橋本一子 (piano, voice), 小川美潮 (vocal, shaker)

2008年9月13日に渋谷の青い部屋で開催された即興ライブの録音。非売品CD。ワントラックのみ。

美潮さんの産声のようなボイスから始まるこの即興。彼女の即興はもとより魅力的であるが、こんなに長い時間(約30分)に渡って続けた例はあまり知らない。普段はあまり聞かないような超低音から得意の鳥のさえずりのような高音まで交え、全精力を傾けてこの即興に臨んだのだと思う。後半部ではこれまた得意の奇想天外な即興詞も披露する。

一子さんのピアノは緩急自在に対話しながらときには美潮さんをリードし、ときには支える。そしてときにはささやくような低音ボイスを合わせてくる。

即興と言えばジャズであるが、ジャズの場合は即興慣れしているところがあるので、ある程度は「あてはめ」や「使い回し」で形を作って行くこともできる。しかしここでの即興はその場での創作のウェイトが高いように思われる。演奏後はさぞ疲れたのではないか。

ライブなので録音には会場のノイズや客の反応も含まれている。演奏の録音の中ではシェイカーの音が非常に綺麗に取れている。

部屋を暗くして大きな音で集中して聞くのが良いと思う。二人の対話を堪能できるだろう。知人のしほたつさんは早くも2009年のアルバム・オブ・ザ・イヤーに決めたそうだ。