7/21 日野皓正クインテット@ 高松 Speak Low

日野皓正 (tp, カウベル、マラカス), 多田誠司 (as, ss, マラカス), 石井彰 (p), 金沢英明 (b), 和丸 (ds)

Speak Low 初登場の日野皓正クインテット。120名の大入満員で半分は立見。

20:00 start。最初5曲くらい立て続けにやったらしい。らしいというのもリスナーとして情けないが、構成が普通のジャズと違うし、ブレイクも多用しているのでどこで曲が切れたのか瞬時に判断できず、拍手のタイミングもつかみづらい。日野さんはアメリカの物真似ではない、オリジナリティーのある前衛的なものを目指していると今日も語っていたし、以前から語っている。多田誠司が加入した当時の日野クインテットを大阪ブルーノートで昔見たが、そのころとはかなり変わっていると思う。もの凄い緊張感の中で演奏が進んでいる。緊張感は多田さんの表情を見ていてもよくわかる。終始難しい顔をしている。ピアノソロのときでも難しい顔をして聞き耳を立てている。それは日野さんも同じ。

リズムもかなり複雑なのだが、それをキープするドラムの和丸君がすごい。まだ18歳。日野クインテットに参加したときは16歳。沖縄のケラマの小島で育ち、8歳からドラムを始めて10歳でCDを出し、ゲストに渡辺香津美を迎えたとは。ほとんど独学で勉強したと言っていたそのドラムは超パワフルで音数も多く、ポリリズムを平然と叩く。ソロも怪物級。エルビン・ジョーンズの若いころはこんなだったのかな、いやきっとエルビン以上なんだろう。末恐ろしい。

ピアノの扱いにも面白い工夫が。マラカスやカウベルをグランドピアノの中に放り込んだ。当然弦がこれらを叩き、雑音が混じる。またある時は日野さんがトランペットの朝顔をピアノの中に突っ込み、弦のすぐ側で吹く。そうすると、ピアノの中の弦が共鳴して、その音をマイクが拾い、神秘的な残響が残る。こんなにうまく共鳴するものか。さらには、日野さんがトランペットのマウスピースでピアノの中の木を叩くというプレイまであった。

前衛的な曲が続いたところで、長いMCと自己紹介回し。このまま休憩なしでワンセットなのかと思ったが、実は休憩ありでした。2nd set は少し緊張感を下げ、4ビートの曲(といっても途中でリズムは複雑化していた)の Crimson, 日野元彦さんの曲など。最後にマスターの美濃さんをドラムに迎えて、お店の名前の曲 Speak Low。マスターは緊張していたようだが、さぞ嬉しかっただろう。このときは、多田さんの表情もニコニコ。

終演は22:30くらいだったか。CDを購入して、サインをしてもらい、帰りました。プレイヤーの皆様ありがとうございました。